人参の栄養と健康効果:生と加熱での栄養の違いも解説!
人参は鮮やかなオレンジ色と甘みが特徴の野菜ですが、栄養価も豊富で、目や肌の健康に関わる優れた効果があります。
特にβ-カロテンは、強力な抗酸化作用により、目の健康をサポートし、肌の老化やダメージを防ぐ効果が期待できます。さらに、加熱することでカリウムが引き出され、むくみ予防や高血圧対策にも役立ちます。
この記事では、人参に含まれる主な栄養素とそれによる健康効果、生と加熱での栄養の違いなどを紹介します。
また、旬の人参を使った美味しいレシピや人参の選び方、保存方法も紹介しますので、毎日の暮らしや健康管理にお役立てください。
目次
1.人参の栄養素と健康効果
①人参の栄養成分表
②人参に含まれる主な栄養素
β-カロテン:目や肌の健康を保つ栄養素
カリウム:むくみ予防と高血圧対策に効果的な栄養素
食物繊維:整腸作用と便秘解消に有効な栄養素
③人参の健康効果
動脈硬化の予防
目の健康を保つ
免疫力の向上
美肌効果
高血圧の予防
便秘の解消
2.人参の栄養を活かした食べ方
①生と加熱、どちらが栄養価を逃さない食べ方か?
②皮や葉っぱも捨てずに食べよう!それぞれの栄養素を紹介
皮に含まれる栄養素
葉っぱに含まれる栄養素
③人参を栄養豊富な状態で食べるコツ
油で炒める
皮ごと食べる
葉っぱも食べる
煮汁ごと食べる
④旬の人参で栄養価を高める
人参の旬はいつ?
旬の人参を使ったレシピ
3.人参の栄養を活かした美味しいレシピ
人参ポタージュ
人参しりしり
キャロットラペ
その他のにんじんレシピ
4.人参の選び方と保存方法
①おいしい人参の選び方
②人参の保存方法
5.まとめ
1.人参の栄養素と健康効果
①人参の栄養成分表
文科省が発表している「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、人参の主な成分はこちらの通りです。
人参にはカロテンを始めとするビタミンAやC、カリウム、食物繊維など、さまざまな栄養素が含まれています
にんじん皮つきで生の状態に含まれる栄養成分
100gあたり
②人参に含まれる主な栄養素
人参に含まれる主な栄養素は、β-カロテン、カリウム、食物繊維です。これらの栄養素によって期待できる健康効果について紹介します。
β-カロテン:目や肌の健康を保つ栄養素
人参には100gあたり6900ugのβ-カロテンが含まれています。
この量は、同じ緑黄色野菜のカボチャ(約2000ug)やほうれん草(約4200ug)に比べても多く、人参が含んでいるβカロテンの量は野菜の中で最も多い値です。
βカロテンは強力な抗酸化作用を持ち、目の健康を保ち、肌を美しく保つ効果があります。
●夜盲症の予防・改善効果:
βカロテンは、ビタミンAに変換されることで、視覚に関与する物質であるロドプシンの生成を促進し、夜盲症の予防や改善に役立ちます。
●黄斑変性症を予防する効果:
黄斑は、目の中で最も重要な視覚を司る部位であり、黄斑変性症は視力の低下を引き起こす病気です。βカロテンは抗酸化作用を持ち、黄斑変性症の予防に役立つとされています。
●粘膜を健康に保つ効果:
βカロテンは、皮膚や粘膜の健康を維持する役割があります。特に目の表面の粘膜を保護し、乾燥や刺激から守る効果があります。
●美肌効果:
βカロテンは、抗酸化作用により、肌の老化やダメージを防ぐ効果があります。また、皮膚の色素沈着を抑制し、健康的な肌のトーンを保つ助けにもなります。
カリウム:むくみ予防と高血圧対策に効果的な栄養素
人参に100gあたりに含まれるカリウムは300mgです。
カリウムの一日の摂取目安量について、日本人の場合、18歳以上の男性は1日2,500mg、女性は2,000mgとされています。 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
カリウムはむくみの予防に役立ち、体内のナトリウムとのバランスを整えることで高血圧を防ぐことを始めとする効果があります。
●高血圧の予防・改善効果:
カリウムは、ナトリウムの過剰な再吸収を抑えて尿として排出されるのを助ける働きがあります。
塩分の主成分であるナトリウムの摂りすぎは、高血圧などの疾患を引き起こす原因となりますが、カリウムを十分に摂取することで、塩分の排出を促し、高血圧の予防・改善に役立ちます。
●筋肉の維持・増強効果:
カリウムは、筋肉の収縮に必要な栄養素であり、筋肉の維持・増強に役立ちます。カリウムが不足すると筋肉の収縮力が低下し、脱力感や筋力低下が起こる可能性があります。
●むくみの予防・改善効果:カリウムは、体内の余分な水分を排出する働きがあり、むくみの予防・改善に役立ちます。
●心臓の健康維持:カリウムは、心臓の正常な機能を維持するために必要な栄養素であり、心臓の健康維持に役立ちます。カリウムが不足すると、心臓のリズムが乱れ、不整脈が発生するなどの影響があります。
●骨の健康維持:カリウムは、骨の健康維持にも役立ちます。カリウムが不足すると、カルシウムの排出が促進され、骨密度の低下を引き起こす可能性があります。
食物繊維:整腸作用と便秘解消に有効な栄養素
食物繊維は腸内環境を整え、便秘の解消に効果的です。また、腸内の善玉菌の増加を促し、免疫力の向上にも寄与します。
食物繊維の摂取量が少ないと死亡率が上がり、癌が増え、糖尿病や心臓病のリスクも高まることは研究で明らかになっていますが、日本人の平均食物繊維摂取量は減少傾向にあり、1950年の一日20gから、近年では14g前後まで減っています。一日あたりの「目標量」は18~64歳で男性21g以上、女性18g以上です。
食物繊維には多くの種類がありますが、大きく分けると水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」の二つに分けられます。
不溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸収して膨らむ性質があり、便の体積を増やして大腸を刺激し、排便をスムーズにしてくれます。一方、水溶性食物繊維は便を軟らかくして排泄を促します。
そしてどちらも腸内細菌のエサになり、腸内環境を整えてくれます。腸内細菌は年齢とともに減る傾向があるため、食物繊維を積極的にとって腸内フローラを育てることが健康寿命を延ばすことにも繋がります。
③人参の健康効果
人参には健康維持に欠かせない大切な栄養素が豊富に含まれています。人参を食べることで期待できる効果について紹介します。
動脈硬化の予防:
人参に含まれるβ-カロテンは、動脈硬化の進行を抑制し、心血管系の健康をサポートします。
目の健康を保つ:β-カロテンより、目の健康を保ち、加齢による視力低下を予防する効果が期待できます。
免疫力の向上:
食物繊維が腸内環境を整え、免疫力を向上させることで、体内のウイルスや細菌と戦う力が高まります。
美肌効果:β-カロテンが肌の健康をサポートし、肌の弾力性を保ち、シミやしわの改善に効果があります。
高血圧の予防:カリウムの摂取により、ナトリウムとのバランスを整え、高血圧の予防に役立ちます。
便秘の解消:
食物繊維が腸内の動きを促進し、便秘の解消に効果的です。
2.人参の栄養を活かした食べ方
①生と加熱、どちらが栄養価を逃さない?
にんじんに含まれるビタミンB群やビタミンCは、ゆでることで水に流れ出てしまい、栄養価が低くなるとされています。
にんじんの栄養価を一番摂取できるのは、生で食べること。
ただし、油で炒めた場合、ビタミンAやEの栄養価はアップすると考えられています。
β-カロテンは油との相性が良く、油と一緒に摂取することで吸収率が高まるとされていますので、野菜炒めにしたり、ドレッシングを使ったりするのがおすすめです。
加熱調理や生での食べ方によって、効率的に栄養素を摂取することができる成分が異なるため、バランス良くいろいろな調理方法で食べるのが理想です。
②皮や葉っぱも捨てずに食べよう!それぞれの栄養素を紹介
皮に含まれる栄養素
人参の皮には食物繊維やビタミンCが豊富に含まれています。洗ってから皮ごと食べることで、栄養価を最大限に引き出せます。腸内環境を整え、便秘解消にも効果があります。食品ロス削減にも貢献できますね。
葉っぱに含まれる栄養素傷みが早いため、あまり市場に出回りませんが、人参の葉っぱにはβ-カロテンやビタミンKが豊富に含まれています。サラダやスムージーに加えるなどして、栄養豊富な部分を無駄なく活用しましょう。
また、人参の葉にはセロリや菊菜のような独特の香りがあります。卵とじにしたり、味噌汁に入れたり、パセリのようにトッピングしたりと、幅広く料理に使うことができます。
③人参を栄養豊富な状態で食べるコツ
油で炒める
人参に含まれるβ-カロテンは油に溶けやすく、炒めることで栄養の吸収を助けます。油で炒める際は、過度に加熱しないように注意しましょう。
皮ごと食べる
人参の皮には食物繊維やビタミンCが豊富に含まれているので、洗ってそのまま食べることをおすすめします。無農薬栽培のものであればより安心です。
葉っぱも食べる葉っぱにも栄養がたっぷり含まれているので、捨てずに利用しましょう。サラダやスープに入れて食べられます。
煮汁ごと食べる人参を煮る際に出る煮汁にも栄養素が溶け出しています。スープや煮込み料理の汁ごと食べることで、栄養を無駄なく摂取できます。
④旬の人参で栄養価を高める
人参の旬はいつ?
人参の旬は主に秋から冬にかけてです。この時期に収穫された人参は甘みが増し、栄養価も高まります。
旬の人参を使ったレシピ旬の人参を使った美味しいレシピとして、人参サラダや人参スープなど、人参の甘みを味わえるシンプルな料理がおすすめです。
旬の恵みを存分に楽しんでください。
3.人参の栄養を活かした美味しいレシピ
人参ポタージュ
人参ポタージュは、人参の甘みとクリーミーなテクスチャーが楽しめる人気のレシピです。人参を優しく炒めてから煮込み、ブレンダーで滑らかに仕上げると、風味豊かなスープが完成します。ハーブやスパイスを加えると味にアクセントが加わり一味違ったおいしさを楽しめます。
【材料】(2人分)
- 人参:約300g(5本程度)
- 玉ねぎ:1個
- オリーブオイル:大さじ2
- 野菜のだし(または水):500ml
- 生クリーム:100ml
- 塩:適量
- 黒こしょう:適量
- パセリやシブレット(ネギの青い部分):お好みで少量
【作り方】
1. 人参をよく洗い、皮をむいて細かい輪切りにします。玉ねぎもみじん切りにします。
2. 鍋にオリーブオイルを熱し、玉ねぎと人参を弱火で優しく炒めます。人参が少し柔らかくなるまで約5分程度炒めます。
3. 野菜のだしまたは水を加え、中火にして15?20分程度煮込みます。人参が柔らかくなるまで煮ます。
4. 火からおろし、スープをブレンダーで滑らかになるまでよく混ぜます。
5. 再び鍋に戻し、生クリームを加えて混ぜます。中火で温め、塩と黒こしょうで味を調えます。
6. お好みで、パセリやシブレットを細かく刻んでスープの上に散らして仕上げます。
このレシピでは、野菜のだしを使用していますが、お好みで鶏や野菜のブイヨンを使っても美味しく仕上がります。さらに、ニンニクや生姜などの香味野菜を加えても風味が増します。
人参しりしり
人参しりしりは、人参を細切りにして炒める沖縄の伝統料理です。人参の自然な甘みが引き立ち、シンプルな調味料で味付けされています。鮮やかなオレンジ色が美しい一品で、お酒のおつまみにもおすすめです。
【材料】(2人分)
- 人参:約300g(2~3本程度)
- サラダ油:大さじ2
- 塩:小さじ1/2
- こしょう:少々
- かつお節:お好みで適量
- 白ごま:お好みで適量
- 青ねぎ:お好みで適量
【作り方】
1. 人参をよく洗い、皮をむいて細切りにします。長さは約5~6cm程度の細長い形状にすると食感が良いです。
2. フライパンにサラダ油を中火で熱し、細切りにした人参を加えます。
3. 人参がしっかりと炒められるように、中火から強火にかけてサッと炒めます。ここで、塩とこしょうを加えて調味します。
4. 人参がしっかりと火が通り、軽くしんなりしてきたら火からおろします。
5. 器に盛り付けたら、かつお節と白ごまを振りかけ、お好みで青ねぎの小口切りを散らして完成です。
人参の自然な甘みとサラダ油で炒めた香ばしさが特徴的な料理です。かつお節や白ごま、青ねぎをトッピングすることで、風味が豊かになります。沖縄の家庭料理として、おつまみや副菜として楽しむことができます。
キャロットラペは、フランス料理の一つで、人参を細かくおろしたサラダです。シンプルで爽やかな味わいが特徴的で、野菜の甘みを生かしたヘルシーな一品です。
【材料】(2人分)
- 人参:約300g(2?3本程度)
- レモン汁:大さじ2
- オリーブオイル:大さじ2
- 塩:小さじ1/2
- こしょう:少々
- パセリやセルフィーユ(セージ)などのハーブ:お好みで適量
【作り方】
1. 人参をよく洗い、皮をむいて洗ってからすりおろします。すりおろし器を使うと細かい千切りになりますが、おろし金で粗めにおろしても良いでしょう。
2. おろした人参にレモン汁、オリーブオイル、塩、こしょうを加えてよく混ぜます。
3. ハーブを細かく刻んで加え、再度混ぜ合わせます。
4. 器に盛り付けして、お好みでさらなるハーブやレモンの皮を削ったり、ナッツやドライフルーツをトッピングして完成です。
キャロットラペは冷蔵庫で冷やしておくとさらに美味しくなります。時間が経ってもしっとりとした食感が楽しめるので、前日に作っておくと便利です。
また、アレンジとして、お好みでリンゴやナッツを加えることもできます。
その他のにんじんレシピ
その他にも、人参はサラダやスムージー、グラッセやスティック状にカットしてのおつまみなど、様々なレシピで楽しむことができます。季節やシーンに合わせて、アレンジを楽しんでみてください。
4.人参の選び方と保存方法
①おいしい人参の選び方
おいしい人参を選ぶポイントは、形が整っていて傷やしわがなく、色が鮮やかなものを選ぶことです。また、葉付き人参であれば、しなやかでツヤのある葉っぱがついているものが申請です。鮮度が高い人参ほど甘みが豊かなので、食べごろを見極めましょう。
②人参の保存方法
人参は冷暗所に保存するのがおすすめです。袋に入れて湿気を防ぎ、冷蔵庫の野菜室で保存すると、長期間新鮮な状態を保つことができます。また、冷凍保存も可能です。調理前によく洗ってから切り分け、保存容器に入れて冷凍すると便利です。
5.まとめ
この記事では、人参の栄養と健康効果について紹介しました。
調理の方法によって摂取できる栄養素が変化しますので、バランスのよい食事をとるためには、偏りなく、様々な調理方法で食べるのが理想です。さらに、人参だけでなく、様々な野菜や食品を使えば健康効果はさらに高まりそうですね!
ロハスプラザでは、人参を化学肥料不使用・無農薬で栽培しています。
独自の栽培方法で栽培した人参は市販の人参よりもカロテンを豊富に含んでいるのが特徴です。
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